タイトル通りの物語でした。
当初は子どもの誘拐、未解決、証言者の嘘、情報をデフォルメ表現するドット絵…で、残酷な物語になるかもしれない、誰かの過失を見ることになるかも……とかなり身構えていたのですが個人的にはそんなこともなく、穏やかな読了感です。

これは小説では得られない、自分で触るから得られる充足感だと思うのでプレイしてほしい。とても!!
わたしはSteamで購入しましたがニンテンドーにもある、ぜひ…。

以下はゲーム本編内容に触れる感想です。


導入のクラゲのドットアニメーションがまず良すぎる。ずっとこれをデスクトップで見ていたい。
クラゲのゆらぐ姿、また、清崎さんの視点で言うなら警官がそこにいるという抑止力、本人がどう思っていようと客観的には力があるものだから切なくはなりました。
どうして自分をそこまで追いつめてしまったのだろうと物語を読み進めたくなる導入。

誰かを陥れるためについた嘘ではなく、全員が誰かを守るため、約束のためについた嘘が混乱を呼びどうしようもない事件に見えている…。
そして印象的な「未解決事件にしてください」がお父さんの発言で始まるのがすごい演出で。ここのボタンを掛け違えるとお母さん・おばあちゃんが結託した悪者に見えて、犯人の「お父さんは嘘つきです」で混乱を極めて、事件の全容が見えなくて…。
思想が追いつめられた主人公の追体験ができることがすごい作り。

翔太くん…。翔太くんが事件を紐解くためのとっかかりとしてわかりやすい「話したくない」がある子で、ついつい翔太くんの話から読み進めてしまいました。
まだまだ庇護されるべき年齢の子どもなのに、お兄ちゃんであるため、すこし背伸びをしたら余計なものが見えちゃった子で、その対応に迷っていて…。正しく成長中の子であるので読みながらこの子に話を詰めなきゃいけないことに苦しさがありました。
けれど、お父さんをはじめとした大人たちが彼のがんばりや気遣いをこぼさず見ていること、これがとても安心要素でした。
どれだけ翔太くんは悪くないよと言ってもずっと気に病んでしまいそうなので、丁寧なメンタルのケアを頼む。
お母さんとの約束を守るための傘のエピソード、とてもいいなと思った。それをお父さんが見逃していないことも。愛。

カットインを見逃しまくっていたので、「翔太くんがいつも持っているもの」の回答にすごく悩みました。文章が全部グレーアウトしてしまうし…。
とはいえここを抜けた後、スチルみんな見直して発言者を整えていくこともできたので、ゲームとしての作りがいいな~~とも思いました。助かる導線。

静かなピアノの雰囲気がシリアスさにあっているなあと内容を開けているあたりからだんだん不安なもののぶつかる音や電話のコール音が混じってきて、不安で一度ゲームを落とすなどしました。
事実はクリアになってきてあてどない気持ちは落ち着いてくるのに、BGMが不安をあおってくる…!!!!

お母さんの名前が明かされるのが本当に遅くて、「ああ、日本以外でも結婚してお母さんになると名前で呼ばれなくなるんだな」と切なく納得していたら普通にお母さん/犀花ちゃんが2人いるという叙述の一部でよかったなあと思いました。よかったか?
入学案内を受け取ってしまったときの笑顔のスチルがそれはもう嬉しそうで。
ずっと不安定だった娘さんがあんなに嬉しそうに、あてどなくても前向きに動き始めたら親としてはきっと「もうとっくに亡くなっているよ」なんて言えないよなあとも感じました。倫理にもとることだし、娘が前に進める選択肢ではないけれど、守るために選んでしまうのも仕方ないなって。おばあちゃんも苦しかったろうな。

トゥルーもノーマルも見たんですが、ノーマルに救いを得た方です。
小さな子どもに大人の悪意(と世間は判断すると思う)に晒されたことをストレートに伝えるのははばかられるからきっとある程度大人になってから伝えられたのだと信じたい。
さまざまな障壁があった人生の中で犀華ちゃんが立派な大人として立っていることが本当に眩しくて…。あの日取りこぼしたと思い込んでいたものが巡り巡って自分のもとに帰って来たエンド、すごく好きです。
トゥルーもやっと前に進めるという契機の瞬間なので、それはそれで正しい。
トゥルーのスチル、結構いろんなところの作品紹介で見ていたと感じていたので、やっと意味が知れてすっきりした気持ちも…ある!!

いいミステリーでした。
事件を終わらせないと人生も進むことはできないから、正しかった…。